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歌う16才 そのほか

 

 島倉千代子の「この世の花」がFMで流れる。

 これがデビュー曲だということは知っていたけれど、驚くべきことにこの時彼女は16歳だったという。なんと、既にしてかの‘ちりめんビブラート’はほとんど完璧の域に達しているようではないか。

 見わたせばほかにも齢16にしてみごとな歌声を聴かせた歌手はまだまだいそうである。 ☞

 12歳でデビューした‘天才少女’美空ひばりはもちろん、TVの‘スター誕生’が輩出した‘中三トリオ’山口百恵をはじめとするアイドル歌手たち、11~12歳で躍り出たSPEEDなど…。とりわけ16という年齢は、少女とも大人ともつかぬ境界もあやういデリケートな季節ではないか。「白い約束」の山口百恵が「横須賀ストーリー」を歌うのは、そのわずか半年後である。さればこれらを採集してCD1枚のオムニバスにしてみようという気持ちがむくむくとあたまをもたげてくる。

(👈 クリックで拡大しますぞ)

 

 で、奮闘努力の甲斐あって80分CDRに収録した結果がこれ (≧◇≦)

 

 もちろん、涙を吞んで番外とした歌手は少なくない。

 例えば中尾ミエは15歳の「可愛いベイビー」で大ヒットしたのに、その後しばらくこれといった曲に恵まれなかった(惜しい!)。

 伊東ゆかり。11歳でレコードデビューして大人顔負けの和製洋楽ポップスを歌った。しかし、同時代のこのジャンルには弘田三枝子という超弩級の才能がいた。

 「17才」でデビューした南沙織は、実はこの時まだ16歳だった。だが1か月あまりの後には17になるのでこの曲にしたと思われる。タイトルが「17才」では、やはり『歌う16才』のなかには入れにくい。(中森明菜の2ndシングル「少女A」はレコーディング時16歳だったがリリース時では17歳。まして歌詞に“いわゆる普通の 17歳だわ 女の子のこと 知らなすぎるのあなた”とあっては採用しがたかった。)

 

 ‘スタ誕’世代周辺は多くを割愛せざるをえない。伊藤咲子、桜田淳子、西川峰子、河合奈保子、松本伊代(〽伊代はまだ16だから~♬これは入れたかったねぇ)、三田寛子、早見優、原田知世…。

 この世代ののちになると、16の時点で表舞台に立っていた単体の歌手はあまり見当たらない(調べきれていないだけかもしれないが。ここに収録したほかには加藤ミリヤくらいか〈デビュー曲「Never let go」〉)。むしろ若くしてのデビューはグループの構成メンバーに見られる。だが‘おニャン子クラブ’‘モーニング娘。’‘AKB48’などに該当する者はいないでもないが、あくまでも大勢のなかの一人だ。グループ内の年代の幅も広いので、ここから選び出すことはやめた。

 今後はネット上で評判になってメジャーデビューといケースが増えるだろう。トップに置いた‘綴’は13歳からYouTubeに投稿して注目されてきた。生年月日以外の詳細は不明。素顔も見せていない。

 

 それにつけても頭抜けた存在は宇多田ヒカル。作詞作曲も併せてその畏るべきレベルの高さよ。このなかに並べるのがいささかちぐはぐに思われるほどだ。


 演歌歌手。長い下積みのすえにやっとデビューと語られることが多いけれど、若くしてデビューしたものの鳴かず飛ばずが続いたというパターンも。10歳でデビューした小林幸子、15歳の天童よしみ。アイドルとして15歳でデビューした石川さゆり、16歳の長山洋子は演歌に転身してからやっと芽が出た。歌怪獣・島津亜矢は15歳で「度胸船」をヒットさせたが、次の「出世坂」が17歳だったので16歳はエアポケット。惜しい、ってここでのはなしにすぎないけど。

 

 吉永小百合は12歳で、薬師丸ひろ子は13歳で俳優としてデビューしているが、歌手としては吉永「寒い朝」17歳、薬師丸「セーラー服と機関銃」も17歳。残念。(特に「寒い朝」はリリースがあと1と月あまり早ければ16歳だったのに。惜しい!)

 

 男子の16歳は、ざっと当たっただけだけど、あまりいない。女子ほどには意味のある年齢ではないのか。目ぼしいところでは、三田明(「美しい十代」)、近藤真彦(「スニーカーぶるーす」「ブルージーンズ メモリー」)くらいかな。少年隊もだめ。なので男子はこの際の守備範囲からすべて除外。

 

 

 ついでに、これまで自分用に編集したCDを引っ張り出してみました。ジャケットも作っちゃてるのね。ご笑覧あれ。

 

 

 

  「鴎のうた」

 

 カモメを歌った曲の数々。

 ファド、シャンソン、歌謡曲、Jポップ、民謡、ジャズ、合唱等々。

 

 以前のブログでも書いたので詳細はこちらをどうぞ

     ☛ 鷗のうた


 

 「サマータイム・コレクションⅠ,Ⅱ」

 

 クラシックからジャズ、ソウル、ボサノバ、ゴスペル、ロック、ブルース、演歌…。

ガーシュインのこの曲ほど多彩なジャンルの歌手に愛された音楽はないだろう。

 

 これも以前ブログに書いたな  ☛ サマータイム さまざま

 「昭和歌謡 HEISEI-KASHO(平成歌唱)」

 

 昭和40年代の歌謡曲のオリジナルと、平成に入ってからのカバーを対比。

 洋楽に居候しているような40年代初期の非現実的な曲想(〽夜明けのコーヒーふたりで飲もうと…♪)から、後期の日本特有の湿った情景(〽動き始めた汽車にひとり飛び乗った…♪)へとしだいにシフトしていく‘歌謡曲’の様相。

 これらの歌を、あくまでもメロディを生かしてうたうオリジナルと、今風のリズム・アレンジで料理してみせるカバーと。


  「良恵百変化」

 

 エゴラッピンの中納良恵が色々なアーチストとコラボした歌声を集めてみた。

 エゴラッピンの時とは違う実に多彩な表情が楽しい。中納良恵という歌手は組んだアーチストたちにとってもさまざまにインスパイアされる人なんでしょうね。

🎶

  「流星光芒」

 

 母 藤圭子と娘 宇多田ヒカル。

 音楽的にはかけ離れた二人のようだが…。

 

 もちろん宇多田ヒカルにとって母 藤圭子は重い蟠りを負わなければならない存在だった。愛されたい、愛したい…。それと知られないようにカモフラージュしながら母への求愛を歌う。

 ヒカルが歌う「hymne à l'amour(愛の讃歌)」は、一瞬 藤圭子かと思ってしまうほどその歌い出しの声調は相似する。

 “分かり合えるのも 生きていればこそ

  今なら言えるよ ほんとのありがとう(「嵐の女神」)”

 のちに宇多田ヒカルは自死した母に呼びかけるようにしてアルバム「Fantome」を制作するのだが ―。


 

 「明菜逍遥 vol.1,2」

 

 中森明菜が「歌姫」シリーズでカバーした曲とそのオリジナルとを対にする。

 カルメン・マキ、エゴラッピン、青江三奈、荒井由実、中島美嘉…。どんな歌でもまったき中森明菜の歌にしてしまうのは見事だ。明菜の「伊勢佐木町ブルース」、絶品!


 「歌合百番 歌姫一~十」

 

 明菜が「歌姫」シリーズなどでカバーした曲は都合90曲。そのすべてをオリジナルと対にして10枚のCDRに編集。これはちとえらかったのう…。


 

 「明菜巡礼」

 

 明菜のヒット曲のオリジナルとそのセルフカバーを対に。「ソリチュード」のセルフカバーはこの世すべてのバラード中もっとも切ない名唱、とわたくしは思っております。


 

 「さゆり vs なおみ」

 

 石川さゆりとちあきなおみが同じ曲をどのように歌うか聴き比べ。それぞれがまったく異なるアレンジ、アプローチでなかなかの聴きごたえある競演。


 

 

 

 

 「井上陽水コレクション vol.1~3」

 

 井上陽水のヒット曲とそのカバー。

 第一集は、「リバーサイド・ホテル」「ジェラシー」「いっそセレナーデ」「少年時代」。

 第二集は初期の「夢の中へ」「傘がない」「氷の世界」「心もよう」。

 第三集は他の歌手のために書いた曲。オリジナルとセルフカバーも含めたカバー。「アジアの純情」「ワインレッドの心」「飾りじゃないのよ涙は」「ダンスはうまく踊れない」。


 

 「ザ・ピーナッツ コレクション」

 

 「恋のバカンス」「恋のフーガ」「ウナ・セラ・ディ東京」のカバー集。

 矢野顕子の才能をあらためて思い知らされる。


🎶

 

 「枯葉」のカバー集。

 

 


 

 「クライ・ミー・ア・リヴァー」のカバー集。


 

 「ベサメ・ムーチョ」のカバー集。


 

 「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」のカバー集。