余計なお世話?
股関節のヒミツ ― スリットを隠そう
胴と脚とをつなぐ関節には通常このようなスリットが入るが、どうにも美しくない。
服を着れば見えるわけではないけれど、見えなければいい、という考えには与したくない。
同じ考えだったか、ジュモー工房を引き継いだSFBJでは、両脚をつなげるという方法をとっている。
SFBJでは、単純な丸穴で両脚をつないでいるので、可動域は脚を振り上げるだけで、開脚はできない。
しかし、このような形にすれば開脚もできるようになる。
だが、この方法の弱点は、ゴムが短いため強い張力を得ることができないということだ。
軽いコンポジションボディならまだいいのだが、ビスクの重さになるとしっかりホールドできないので、姿勢も今ひとつ不安定だ。
2冊の「吉田式」にも書かれていないし、これこそ自分の独創ではないか。
ところが、ふと本棚に眠っていたアイミという人の「はじめて作る球体関節人形」という本を開いたら、まったく同じことが書かれていたのだった。(これはなかなかいい本だ。‘甘損’あたりで、まだ入手できるのでは…。)
しかし、ここでひとつ疑問が。
写真集などの裸の人形で、独立球を使ってスリットも見えないものがある。だが、これらが前述の手法を使っているようには見えない。受ける側の凹面が浅すぎるのだ。
スリットを隠すためには凹側に深さが必要で、浅ければ90度分のスリットははみ出してしまう。スリットを90度分より少なくすれば、浅いお辞儀、のけぞった座り方しかできない。(それでよしという割り切り方もあるだろうが。)
「別冊Dolly*Dolly 少女人形〈'04〉」p4
そこで考えられるのは、次のような馬鹿々々しいほど簡単な方法だ。
まず、独立球に90度分の1本のスリットをとる。
直立すればこのままではスリットは隠せない。よって、ここで球を90度内股側(あるいは180度ま後ろ)に回転させる。スリットが見えなくなる。
座る時は球を元にもどす。なーんだ。
ちょっとずるいような気もするけど、ま、一応は解決しますな。