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FMの空合い

 

  ‘NHK経営計画(2024-26)’なるものがあって、やれデジタルだ受信料徴収だなどと述べられている。だがそもそもテレビというものがないわが家には関係のない話だと思いきや…。

 あろうことかラジオ第2とFMを統合するという。家ではほとんどFMを流しっぱなしにする習慣だから、これは看過できない。音楽番組と語学番組をごちゃ混ぜにするのか。  ☞

 そこで意を決して、パブリックコメントとしてダメもとで一文を書き送った。まあ、一リスナーの意見など一顧だにされまいと半ば諦めながらだが、新年度になってみると、2波統合の既定方針はひっくり返らなかったものの、なんと妥協案ではあるがほぼ自分の意見どおりの番組編成になっていたのだった。

 送った意見がそのまま採用された、と考えるほどおめでたくはないが、おそらく同じような意見が少なからず寄せられたのではなかろうか。そもそも2波統合が無理筋だと思うし、番組編成に若干の不満も残るが、最悪の事態は免れたのだから、これでよしとするべきか。


 で、持ち上げたりなじったりしながら、思いのたけを縷々書き送った意見は以下のとおり。

 

 音声波の削減について

 

 支出改革のうち、音声波を削減し、R2の語学番組をFMへ、という案に強い違和感を感じる。語学をFMでやらねばならない必然性は全くないからだ。単に2波ありきの帳尻合わせでしかあるまい。

 多彩な音楽番組で構成されてきたNHK-FMは、一般の音楽愛好家のみならず少なからぬ音楽家にも影響を与えてきた重要な文化メディアだ。FMを聴いて育ってきたというミュージシャンは数知れない。R2の一部が侵入するならば、その特長は大きく損なわれかねない。3波を維持し、FMの音楽メディアとしての基本を守ることを強く要望する。

 

 民放FMと異なって、NHK-FMには次のような美点がある。

 

 ・長時間番組の充実:4時間にわたる「オペラアワー」を筆頭に、2時間近くの長時間番組が充実している。「クラシックの迷宮」「掛けるクラシック」等のクラシック番組のみならず、「世界の快適音楽」「ウィーエンドサンシャイン」「ジャズトゥナイト」などは内容もパーソナリティも実に素晴らしい。これらの番組では、CMの間に台本がせかせかと読まれることもなく、曲もフルでかかってフェイドアウトされることもない。‘改革’によって番組構成が窮屈になって、これらの番組が消えたり短縮されてその長所が失われるようなことがあってほしくはない。

 (また、最近『今日は一日××三昧』もめったに企画されなくなっているが、このシリーズも民放には絶対にできない番組である。)

 

 ・ジャンルの多彩さ:Jポップと洋楽がほとんどである民放と異なり、NHK-FMのジャンルは実に多彩だ。「古楽の愉しみ」やサラーム海上の「エキゾチッククルーズ」、長唄・清元・端唄・琵琶から朗詠・河東節にいたる邦楽・浪曲・民謡、「現代の音楽」等々、NHKでなければ聴くことがかなわない番組はほんとうに得難いものだ。一般聴者はもとより、その道の研究者やそれを目指す卵たちにとっても貴重なものだろう。聴者の数はJポップに及ぶべくもないだろうが、これらの番組を守り続けるのはNHKの使命というべきである。

 

 そんなFM番組のなかにR2の数多くの語学番組が侵食してきかねない事態は脅威である。多様な音楽を楽しんでいるところに、突然ハングル講座やベトナム語ニュースが始まってしまったら、たまったものではない。すでに早朝や深夜帯にいくつかの語学番組が編入されてきているのは‘ならし運転’の腹積もりか。

 

 そこで提案する。

 音声波の削減はやめて3波を維持してもらいたい。

 最悪、それがかなわないならば、語学番組は深夜帯にまとめるべきである。語学番組を聞く人は、現在ではリアルタイムではなく、自分の都合の良い時間に‘聴き逃し’を利用するのがほとんどではなかろうか。

 であれば日中の音楽番組の間に割り込ませる必要はなく支障もないはずだ。

 その代わり、FMでも深夜帯に流してきたラジオ深夜便は聴けなくなるが、R1で聴けるのだから許容すべきだろう。

 

 経営改革を議論する人々は、日常にラジオを聴いているのだろうか。

 ラジオ、とりわけNHKのFMは文化的にもたいへん貴重なものだと思う。ぜひ現状の特長が損なわれることのないようご配慮いただきたい。 

 


 おそらく、経営サイドとは立場を異にして、現場のスタッフたちは誇りとこだわりを持って番組制作に注力してきたのではないか。それがために音楽番組と語学番組をシャッフルするなどといった愚を、矜持をもって回避したのだと思いたい。