9月13~21日のアジア ソフトテニス選手権が韓国の聞慶(ムンギョン)で。
25の参加国中、上位は日本、韓国、台湾に絞られる。日本発生のソフトテニスだが、過去には金メダルを一つも獲れなかったり、全日本チャンピオンでも準決勝にも進めなかったということも。
さて今回、日本選手の活躍やいかに?
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韓国ではソフトテニスがプロスポーツとして成り立っていて、韓国、台湾はこの大会のために長期合宿を組むとか。
片や日本は、4月に行われた代表予選会や各大会の成績で選ばれた選手たち。
男子はNTT西日本などの社会人。長く大黒柱だった船水颯人がいないが、史上最強との下馬評も聞こえる。
女子は高校生2人、大学生2人を含む若い伸び盛りのチーム。ずっと日本のエースとして牽引してきた高橋乃綾が引退してしまったが、うち4人は昨年の世界選手権も経験している。
アウエーでの慣れないクレーコート。国内試合とはまったく異なる緊張感。がんばれ、ニッポン。
試合開始。第1Gを4-0で先取。幸先いいぞ。
その後 取られたり取り返したりの展開が ―。
強打のイ・ミンソンに対して互角のストローク戦。さすが高橋乃綾とのペアで数々のタイトルを取ってきた選手だ。さらにネットプレー、ツイストを織り交ぜて一歩も引かない。ついにG(ゲームカウント)3-3のファイナルゲームへ。
カウント2-2。だがここからイ・ミンソンの強打、好打が出、2-6のマッチポイント。1ポイント返すも、最後にイ・ミンソンの豪打が炸裂。試合終了。残念。でも岩倉 銅メダル。さらにこの健闘には
メダル以上の意義がある。
目いっぱいフルゲームを戦わせたことは、次の天間との決勝に影響するだろう。 また、シングルスでイ・ミンソンと対等に渡り合ったこと、他の韓国選手にもG4-0で完勝していることは、国別対抗戦で韓国のオーダーに少なからぬ制約を強いるはずだ。
天間は高校2年生だった昨年の世界選手権にも選ばれている。シングルスに出場して2回戦で韓国のオン・イェージンにG1-4で敗れた。そのオンにイ・ミンソンは決勝でG4-0で勝って優勝しているのだ。こんな小鹿のような痩せっぽちの小娘に負けてたまるか、彼女はそう思っただろうか。
第1Gから激しいストローク戦。天間の軽やかなフットワークと柔らかなフォームから角度のついた強烈なショットが左右深くに打ち分けられる。
イ・ミンソンのふつうだったらエースになるはずのショットもダウンザラインに切り返される。
最初から見ごたえある強打の応酬のすえ、このゲームを天間がG6-4で取る。
第2G。一発の強打にはやるイ・ミンソンにミスが重なり、ふたたび天間のほれぼれとするばかりのあざやかなバックハンドのダウンザラインも決まって、あっさり4-1で天間が取る。Gカウント2-0。
だが、ここからイ・ミンソンが意地を見せる。第3,4Gは強打で連取。Gカウント2-2。
そして第5Gは激しい応酬になる。8度のデュースが繰り返され、それぞれアドバンテージを4度取り合ったすえイ・ミンソンがこのゲームをもぎ取る。カウントなんと10-12。Gカウント2-3。イ・ミンソン逆転でリード。
一度絶対のチャンスボールをめずらしく力んだか大きく吹いてしまい、これもまためずらしくしまったという落胆の仕草を見せた天間。競り合ったすえにゲームを落とすのは徒労感が大きいものだ。大丈夫か天間。
だが、フィジカルのダメージが大きかったのはイ・ミンソンのほうだ。このゲームで天間は強打やツイスト、ショートカットなど硬軟織り交ぜたショットを繰り出した。前後左右にイ・ミンソンは走り回らされていた。(イ・ミンソンは前日の準々決勝で同じ韓国のファン・ジョンミと、また当日の準決勝では岩倉とフルゲームを戦ってきている。)
第6G。天間に焦りは見られない。自分のするべきことに集中している。なんと強い娘だろう。一方イ・ミンソンにはもはや対抗する体力は削り取られて残っていないか、天間の強打にあっさり打ち取られる。最後にまたあの芸術的なバックハンドのダウンザライン、ノータッチエース! 4-0。あんなに苦労して第5Gを取ったのに、こんなにあっさり取り返されるとは。Gカウント3-3となりファイナルゲームへ。イ・ミンソンのショックは大きいだろう。
第7ファイナルGは一方的な展開になる。
ラリーらしい応酬もないまま一発に賭けるイ・ミンソンのボールは大きくラインを割る。
そしてフィニッシュはまたも完璧なダウンザライン。ボールに触れることさえできない。ゲームセット! 7-1、Gカウント4-3、天間麗奈 金メダル!
そのゲーム展開を読む落ち着き。恐るべき高校生だ。
“準決勝で岩倉さんが体力を削ってくれたのもあった。岩倉さんのプレーを見てすごいいい影響をもらい、自分にも自信がついたというか、それで向かっていく気持ちを持てて、最後の1球まで諦めないで試合をすることができました。1回々々のラリーが濃かったが、ミスしてもすぐ切り替えてリセットすることが集中につながりました。去年の世界チャンピオンと戦える嬉しさもあって、これだけ強い選手とやりあえた、そして勝てたということは大きな自信につながりました。” (試合後のインタビュー)
男子シングルス決勝。
勝ち上がってきたのは上松俊貴。準々決勝、準決勝の対韓国戦も含め、これまで1ゲームも落としていない。
だが、対戦相手は台湾の新鋭陳柏邑。2回戦で広岡宙を4-3のフルゲームのすえ破っている。若くて勢いがある。
第1Gを5-3で取るも、第2Gは3-5で取られる。上松 初の失G。
たがここまで上松は特段の仕掛けを控え、ていねいにラリーに付き合いながら相手の実力を測っていたのではないか。第3Gを4-2、第4Gを4-1で着実に奪う。ストロークの安定感は上松が一枚上だ。
第5G。1-3と先行され、さらにデュースからアドバンテージを取られる。しかし、ここでチェンに痛恨のダブルフォールト。そしてネットプレーを仕掛けたチェンをするどくパッシングで抜く。最後はラリーのすえにチェンの返球がネットにかかる。上松 金メダル!
これで上松俊貴は、一昨年のアジアオリンピック(競技大会)、昨年の世界選手権に続いての3連覇。抜群の安定感。もはや風格さえ漂う。
ミックスダブルス決勝。
天間麗奈/丸山海斗が進出。(天間/丸山は準々決勝でイ・ミンソン/パク・ジェキュを破ってきた。)
対するのは、準決勝で前田梨緒/上松俊貴を下した台湾の黄詩媛/余凱文。このペアには昨年世界選手権で高橋乃綾/上松俊貴が5-1で勝っているものの、余は国際大会男子ダブルスで金メダル2連覇の台湾のエース。丸山も長身だが余もかなりの長身だ。
試合序盤から余の積極的なポジション取りと黄の思い切りのいいショットが嚙み合う。Gカウント0-2。第3G、3-0と先行するもひっくり返されGカウント0-3。勢いはあきらかに相手側にある。
だが第4Gを5-3、第5Gを4-1と連取。Gカウント2-3。流れを引き戻せたか。
しかし第6G、天間のショットが余につかまり、丸山が黄に逆をつかれる。Gカウント2-4。
第7G、勢いに乗る相手に積極的に仕掛けられ、2-2から余にスマッシュを2本決められてしまう。ゲームセット。
余を抑え込むことができず、相手に伸び伸びとプレーさせてしまったという試合だったか。
天間麗奈/丸山海斗 銀。前田梨緒/上松俊貴 銅。
“まずは試合を楽しもうと思っていたのでそれがよかったです。…彼のポジション取りのおかげで安心して思い切ってプレーができます。”(黄詩媛)
“優勝できたのは、ただ競技を楽しむという気持ちで臨めたから。詩媛選手がすべてのボールを安定的に打ってくれて、のびのびプレーできたことが本当にありがたい。…詩媛を必ず優勝させてあげたかったし、その自信もあった。”(余凱文)
内本/上松の準決勝。対戦相手は韓国の一番手イ・ヒョングォン/パク・ジェギュ。気合の入った内本の目がこわいくらいだ。
(内本は早大1年生の2016年アジア選手権から国際大会に出場しているが、ダブルスの金メダルは獲れていない。上松は高校3年生の'16年の大会で船水颯人と組んで金メダルを獲ったがそれ以降はダブルスでは獲得できていない。16年決勝で戦った相手は内本/丸山だった。)
第1G、4-2で取る。
第2G。韓国ペアはカットサービスとともにネットに詰めてくるダブルフォワード。返球が浮いてネットプレーを決められてしまう。4-6で取られる。
しかし、ここまでで絶妙の頭越しのロブが2本決まっている。韓国ペアは意識せざるを得ないだろう。
第3、第4G、4-1,2-4と拮抗した展開。Gカウント2-2。
第5G。1-3とリードされる。だがこのあたりから、徐々にネットより低く足元に沈む返球がコントロールされはじめる。韓国ペアはローボレー気味にしか返せなくなる。このゲームを5-3で逆転。ここがこの試合のターニングポイントになったか。
内本のコートカバーリングがすばらしい。足元への低い返球の精度がますます冴え、第6、第7Gを4-1,4-2と取って、Gカウント5-2の快勝。
決勝戦。
この4人は、国内で幾度となく顔を合わせてきた。今回のアジア選手権の代表予選会では、上岡/丸山が、それぞれ別の選手と組んだ内本、上松を準決勝、決勝で破って優勝している。
また、丸山と内本は小学4~6年生からペアを組んで全国大会で優勝し、中学全国大会、高校のインターハイでも優勝したという間柄だ。お互いのことは知りつくしている。
第4Gに入って、上松がますます躍動する。ポーチに出てシュートを止める。内本がコートを走り回る。上岡が上松を気にしてネットにかけ、逆をつこうとした逆クロスを大きくはずしてしまう。Gカウント4-0。
第5G。上岡/丸山3-0とリードするも、追いつかれてしまう。上松のスマッシュ、パッシングを止めるボレー、最後は内本のサービスにイージーにあがったレシーブを上松が叩きつけて5-3。ゲームセット。Gカウント5-0。
内本/上松 金メダル。上岡/丸山 銀メダル。日本のワンツーフィニッシュ!
“内本さんが後ろで一生懸命走ってくれて厳しいボールも拾ってくれたり、たくさん相手後衛とラリーしてくれるなかで、僕の良さを引き出してくれた。内本さんの持ち味で厳しいコースを打ち分けてくれたので、前に立ってすごく動きやすく自信を持ってプレーすることができました。”(上松俊貴)
“上松は経験値が違うし、試合中の観察力が優れている。相手がどういうところを嫌がっているかというのを的確にアドバイスしてくれるので、それを試合で体現できれば優勝できるなと思っていた。俊貴のおかげです。”(内本隆文)
もう一つの準決勝には前川愛生/宮前希帆が。準々決勝で韓国ペアを破って勝ち上がってきている。
前川は高校3年生ながら屈指の強打の持ち主(‘爆速’と称されているらしい)。国内の試合ではダブル後衛のことが多く、宮前のようなしっかり仕事をする前衛とのペアは期待大だ。
対戦相手は韓国のファン・ジョンミ/イム・ジナ。韓国はすでに4ペア中3ペアが姿を消していてこのペアが最後の砦。イム・ジナは一昨年のアジア競技会、昨年の世界選手権の国別対抗戦の一番手として出場し、ともにフルゲームで、一昨年は高橋乃綾/渡邉絵美菜に敗れ、昨年は高橋乃綾/久保晴華に勝利した。また、昨年の個人ダブルス準決勝では高橋/久保に1-5で敗れている。韓国のエースだったムン・ヘギョンと組むことも多かった長身の警戒すべき前衛だ。
第4G。このゲームも0-3となる苦しい展開。だがダブルフォワードのフォーメーションをとるなどの工夫やシュートで押し込むポイントもあって5-3と逆転。G1-3。
第5G。でも波に乗り切れない。強気のイム・ジナの動きに惑わされてアウトが重なる。G1-4。いよいよ後がない。
第6G。3-0とリードするもここから追いつかれ、マッチポイントを3度握られる。しかしこれをしのいでこのゲームを10-8で取る。G2-4。ここから潮目が変わるか。
第7G。前川の‘爆速’の強打が炸裂。4-1で取る。G3-4。韓国ペアの顔色が変わってくる。
第8G。宮前のネットプレーが冴える。2-2からのファンのカットサービス。フォールト。ファンの顔がこわばっている。ダブルフォールト。3-2。動作がぎこちない。ファーストがネット。セカンドがふわりと浮く。ダブルフォールト! 4-2! ついにGカウント4-4!! 追いついた。こうなれば、流れはこちらのものだ。
第9G、ファイナルゲーム。前川のファーストサービス。だが、ここで思わぬ事態が…。
サービスがわずかにネットの帯をかする。レット。宮前がかまえを解く。ファンも軽く返してラケットを下げる。
だが、コールがない。コールがないことに慌てて前川が返球するが、これがラインを割る。アウト。審判がレットに気付かなかったのだ。レットは後から確認することはできない。大事なファーストポイントをむざむざ失ってしまった。
決勝戦。
前田梨緒/中谷さくら 対 ファン・ジョンミ/イム・ジナ。
第1G。ファンの思い切りのいいショット。前田やや固いか。3-5。G0-1。
第2G。前田はロブを使いながらイム・ジナの動きを見定めようとしているのか。中谷の動きが軽快だ。4-2。G1-1。
第3G。ファンのコートカバーリングがいい。思い切ったショットで2-0から逆転されてしまう。G1-2。
第5G。
前田がスライスをかけて前衛の頭を越す絶妙のレシーブでファンをコートの外に追い出す。浅く上がってきたボールを、そのままネットに詰めた前田が渾身のスマッシュ。
この気合の一打で中谷の集中も戻ったか、続いてこれも絶妙のツイストのレシーブ。スマッシュも決めて、このゲームを4-0で取る。G2-3。
第6Gは取りつ取られつの展開に。
3-4でボレー・ボレーの空中戦になる。球が浮く。ピンチ。だがこのチャンスに力んだか、イム・ジナがドライブボレーを大きく外してしまう。うずくまって頭を抱えるイム・ジナ。
このあと前田のストロークが冴え、中谷のスマッシュも決まって6-4。G3-3に。ここがこの試合のターニングポイントになるか。
第7G。
ショートぎみの球で前田がフロントに、中谷はベースライン。ラリーの途中でこのフォーメーションを入替える。戸惑ったファンの返球がネット。
ファンのパッシングを中谷が止め、前田が強気にイム・ジナをアタック。このゲームを4-2で取る。G4-3、逆転。
第8G。
2-2。
ファンのレシーブが大きくバックアウト。
3-2。
前田のシュート。ロブ。勝負を賭けたようなファンのシュート。サイドアウト!4-2、G5-3、ゲームセット!
前田/中谷、優勝、金メダル !!
“マッチポイントを獲った瞬間はほんとうに嬉しくて勝手に涙がこみ上げてきたんです。ここまでプレッシャーがかかる部分が多かったのでよけいに嬉しかったです。前川/宮前が準決勝で負けて『これは優勝するしかない』と思い、決勝戦に向けて気持ちが入りました。/中谷とはふだんから組んでいるということもありすごい安心感があります。ふたりの形はコートに入ったら自然にできますし、ペアリングに関しては不安要素はなかったです。いつもどおり自分たちのプレーができました。私のボールが短くなったときに中谷にアタックがきてもボレーで止めてくれたことがすごい大きかったのと、前でたくさん動いてくれたのが自分としてもラケットを振りきれた要因になりました。”(前田梨緒)
“簡単に優勝できるとは思っていなかったし、簡単に優勝したわけではなかった。でも自分たちのペースで自分たちのプレーができてとても楽しかったし、なんか一生の思い出になる試合ができたなって思います。/勝ちたいけど勝つことがメインじゃなくて、その場を楽しみ楽しんでやりきるっていう気持ちで、どちらかというといつもどおりの自分で大会に臨めました。/前田とはいつもペアを組んでいるからぬるくなりがちだけど、直近のインカレとこの国際大会という主要大会ではしっかりお互いの気持ちを高めあえました。優勝できたのが前田とでよかったです。”(中谷さくら)
“途中ネガティブな方向に行きそうになったけど、最後までポジティブな気持で試合をやり抜くことができたのでよかったと思います。”(中谷さくら)
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