
武道館で太極拳を‘表演’(って言うんですね)。
太極拳って、武道なんだ、一応、ね。
でも武道館といっても日本武道館ぢゃあありません。武道館は武道館でも東京武道館。
いま受講している坂井美恵先生が代表をつとめる日本圓華會という台湾太極拳グループのつながりの交流大会。
やっているのは‘13式太極拳’。 ☞

太極拳なんてラジオ体操のようなもんだ、そう思ってヨガが休講になる夏の間だけのつもりだったのが、いつのまにか10年ほどもつづけていた。まあ、ひと通り流れを覚えてしまえば難しいものじゃない。とくに跳んだり跳ねたりすることもない13式なんぞは。
ところがその教室が会場の改修で休講になったのをきっかけに、今の坂井先生の教室に移ったとたん、それがとんだ思い違いだったことに気付かされる。― これが太極拳か!

坂井先生は国際大会で何度も第一位になったひと。
以前のものはどうやら普及のための簡易式だった(らしい?)。あまり細々としたことをいわれることもなかったのでずいぶん自己流にもなっていた(でも唐突に“あと2センチ爪先を動かして”??なんていわれることもあったな…なんじゃそれ)。
坂井先生のレッスンは簡易式を進化させた開祖・詹徳勝直伝のバージョンアップ版。‘簡易式’と‘進化式’では根本的な狙いが違うような気がする。
‘簡易式’は普及の目的もあって、掤、採、靠…などの型(式)をただ順繰りに繋げていくといったふうなのに、‘進化式’は型から型へと移っていくその過程をより重視しているようだ。型はむしろそのための前提だという気さえしてくる。つまり点ではなく線の運動。このとき肝心なのは軸足にしっかりと乗って(99ではダメで100体重を移動させてといわれる)、体の中心軸をつくること。すなわち太極拳は体幹の運動だったのだ。少なくとも13式は。
レッスンは90分のうち、30分弱が準備体操(片足を浮かせて行進するように前後に振る、とか -)、13式を通しで(ゆっくりのペースで、しかし切れ目なく流れるように)、これが10分弱、残りの時間は、一つの型だけをそこにいたる前からのつながりをふくめてじっくり。山本五十六に“やってみせ、言って聞かせて、させてみせ…”というのがあるけれど、ひとつひとつ手、脚、体の動きをできるかぎり‘言語化’しながらやって見せてくれる。でもそのとおりやろうとしてもなかなか先生のようにはできない。太極拳がこんなに難しいものだったとは…。今までできていたつもりになっていた自信が、すっかり吹っ飛ぶ。
慣れるより習え - ですねえ。