夜8時近くにチャイム。
来週 近所の工事でご迷惑をかけるのでご挨拶に、という。どこで?と尋ねると××さんという。聞いたことがない。快活そうな作業員風の女性だが、社名も名乗っていない。
話が済んで門を閉めかけると、あ、そうだ、と思い出したように“下見の時 気が付いたんですが、二階の棟 浮いてるんじゃないですか”と言う。 ☞
外に出て見ろというが、夜だからほとんど見えない。女は工事はいつしたか、とか放っておくと大変な工事費になる、などと言う。明日でもうちの者に点検させましょうか?
工事の挨拶がてらに親切を装って棟が浮いているという夜の訪問は、実は以前にもあった。夜目によく見えない棟を示して不安をあおるのは、どうやら定番の手口らしい。
明日はいらっしゃいますか、となおもしつこく食い下がろうとする女を、自分で手配するからと振り切って門を閉めた。
翌日の昼に目視すれば、もちろん棟はどう見ても浮いてなどいない。近所の工事などが行われることもあるまい。くわばらくわばら。