· 

こずゑの重さはかりがたしも

 

 

 暖かい3月だったので、今年の桜は早いとしきりに気象予報士がいう。

 

 桜を見逃しては悔やんでも悔やみきれない。そわそわと心が落ち着かない。  ☞

 3月23日。

 ちらほらと満開のたよりが聞こえはじめる。

 川の桜はなぜか少し遅い。そう思いながらも、雨のなかAB川の桜をたしかめる。

 花びらが散り始めたものもあるけれど、まだ蕾をずいぶん残した桜も少なくない。来週までは大丈夫だろう。

 

 27日。

 雨模様の不順な日がつづく。なんとか天気が持ちそうな日を見計らってAB川へ。

 ほぼすべての蕾が開いて花びらが散り始め、葉はまだ目立つほどには芽吹いていない。理想の景色。ピンポイントの唯一至上の季節!

 屋台も人出もこれまでより多いけれど、それでも十分にゆっくり桜に酔うことができる。

 

 29日。快晴。

 テニスコートからの帰り道のOK川。

 すでにほとんど散ってしまったものが目立つけれど、まだまださかりの桜も。

 桜吹雪。道は桜の敷物。

 ソメイヨシノではない、枝垂れ桜や大島桜、里山桜系(?)がところどころにあるのも楽しい。

花びらはくれなゐうすく咲き満ちてこずゑの重さはかりがたしも

小中英之  

 同日。昼飯とビールを買って、OK川からそのままつながるMM川に。

 ここは気に入りのスポット。子連れの母親、カップル、にぎやかなおばさんのグループなどが入れ替わりあらわれるけれど、混み合うことはない。

 老女が独り、ぽつんと長いこと座りつづけていた。

 

 31日。

 朝食のパンを買いに行ったついでにHK寺に寄る。

 花もだいぶ散った。

 葉桜になっていくさくらを見ると、非日常がだんだん日常にシフトしていくような風情を感じる。ちょっと残念なような。でも、いつまでも非日常がつづいてはたまらないだろうという気もしますね。

 

散りきて墓をおほへる桜の花なきたましひも出でてあそべよ  岡野弘彦

 

 

うから             まなうら 

 族絶ゆつむれば赫き眼裏にこの世のほかの桜咲くらん