明日が片山健の油彩画展の最終日と気がついて吉祥寺に。
片山は吉祥寺生まれ、生家は場末の商店街の肉屋だとか。
会場は重なり合うほどではないけれどなかなかの人出。絵本の原画として描かれたものも多々あるせいか、子連れの家族もちらほら。
会場のベンチに腰を下ろしてご婦人とおしゃべりする好々爺がいると思ったら、片山健本人だった。 ☞
輪郭の溶けかけたしかし鮮烈な色彩の風景の中の子ども。
世間一般に片山健という画家が知られるのは、“こっこさん”シリーズを始めとする絵本によってなのだろう。
だが、片山健を知ったのはこのような水彩・油彩画がきっかけではなかった。吉岡実の詩集「サフラン摘み」。詩人自らの装幀で使われたのはじつに繊細な鉛筆画だ。油彩とは正反対に細部まで描きこまれた少年たちの甘美な悪夢。
美しくも恐ろしいこの世界に無防備に立ち、歩き、遊ぶ子ども、自分という未知の闇に夢遊病者のように彷徨い、浮遊し、失禁する少年。一見真逆のようでありながら、通底する背中合わせの夢想。どちらも記憶から拭いがたい魅力を湛えた片山健の世界だ。
吉祥寺はこじゃれたショップと庶民的な店が混在する街。
街のにぎわいから外れて蕎麦屋 中清に。
4時前なのに6卓ほどのうち半分は埋まっていてすでに酒杯。座卓にひとりのスタイリッシュな若い姉ちゃんも。
日本酒の品揃えがなかなか。爾今、田酒を嗜む。
締めに生粉蕎麦。(粗挽きが売り切れだったのは残念。)
5時近く店もすきはじめる。夜また混みだすのだろうか。
…
ありゃ…。いささか酔ったか。ただでもらった片山健展のポスターを置き忘れてきてしまったよ。