ただ美しいとか心が和むとかではなく、夏の花には何らかの思いが託されることが多々あるようだ。
夾竹桃。
広島に原爆が投下されたのち、焦土にただちに咲いた花。そのために‘原爆の花’とも呼ばれ、広島市の花にも指定されている。
苛酷な環境にも強いが、花にも葉にも毒があるらしい。
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木槿。
子供の頃、隣家の裏庭に咲いていた。薄紫に底の赤い花はどこか翳があって寂し気な印象だった。
花は一日で萎んで落ちてしまう。落ちた花はまるで死んだ虫か蛹のようだ。
韓国の国花(だが法の裏づけはないようだ)。それは薄紫色ではなく、白ではないかという気がなんとなくしている。李朝の白磁を連想させるからだろうか。