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春の贅沢

 

 コロナに備えて世間が、米だ、カップラーメンだ、缶詰だ、などと騒いでいようが、この時季にこれを食さないわけにはいかない。

 

 焼き筍、筍土佐煮、ワカメの味噌汁、グリンピースご飯、独活と九条葱の酢味噌和え、それからその余得として、独活の皮のきんぴら、筍姫皮の梅肉和え。

 これを喰わねば、春は来るまじ。 ☞

 

 

 といいながら、今日は一転して真冬の天気。雪まで降ってきた。

 

 家にいるときはほぼFMラジオをつけている。テレビというものは、なにか作業したり本を読んだりのじゃまなので、そもそも持つのをやめてしまったのだ。

 年度替わりなので、好きだったFM番組も今日終了。

 ふかわりょうとチェリストの遠藤真理がMCをつとめていた‘きらクラ’。8年も続いていたのに、評判だってよかったはずなのに…。

 

 タレントと音楽家が組んだクラシック番組は、かれこれ四半世紀余りつづいてきたけど、この二人の組み合わせは断トツに良かった。嫌味なく、真摯で、ときにユーモラスで。

 とりわけ楽しみだったのは‘BGM選手権’というコーナー。朗読される詩、小説、エッセイはもとより、ふかわと遠藤が掛け合う捕物帳、ゲストの中村右近の歌舞伎の口跡、演歌‘北国の春’の歌詞、挙句はNHKニュース、算数の問題文、円周率などに合わせたクラシックをリスナーが投稿する。合いすぎるのがいいとは限らない。北大路魯山人の納豆の掻き回し方についてのエッセイに、ハチャトリアンの仮面舞踏会がまさかの化学反応を起こしたのなどは絶妙だった。もう、このコーナーが聴けないのは残念だ。遠藤真理のあの邪気のない明るい笑い声が聞けなくなるのも 寂しい。ちょっとした‘きらクラロス’…。