炊き込みご飯のなかの一番をあげるなら、迷うことなくグリンピースご飯だ。
グリンピースだけではそれほど好きな食材ではないけれども（子どもの頃、焼売の上に乗っているグリンピースが嫌いだったな）、ご飯に炊き込むとこんなに旨いものはない。栗ご飯も筍ご飯も及ぶところではない。 ☞
料理屋などでは豆の色を鮮やかにするため別に煮て後から加えるということをするようだが、ちっとも旨くない。豆は最初から入れなくてはだめだ。
魚はサヨリ。
淡白なようで、しっかりと味わい深い。刺身にして他にこれに似る魚は思いつかない。（強いて言えばカワハギか？）
でも身が細いので、さばくのがちょっとやっかい。
北原白秋の「六つの子供のうた」のなかに「さより」というのがあって（團伊玖磨が曲をつけて伊藤京子が歌っている。まさに珠玉）、“サヨリは うすい／サヨリは ほそい／ぎんのうを サヨリ／おねえさまに にてる” というのだ。
だが、この魚、腹を裂くと黒い。
それで、見かけは美しいのに性格が悪いのを “サヨリスト” といったりするらしい。
しかし、旨い。
腹黒くてもいいや。
ワカメも新物が。
筍と合わせて若竹煮、酢のもの、油揚げ・えのき茸・九条葱との味噌汁。
春を満喫。春は旨い！